朝顔につるべとられて

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蜘蛛嬢が物干しに糸を架けたので そこは使わないようにしている。

 

思い出すのが「朝顔につるべとられてもらひ水」という加賀千代女の有名な句だ。

以前からこの句は好きになれなかった。

井戸は共同のものだろうからこの後 朝顔はどんな目に合うか分からない。

巻きついた朝顔をそっと解いて安全なところに導いてやったらいいのにと思う。

「女らしい優しい句」という説を見かけたけど私にはそう思えない。

 

蜘蛛の糸はそうはいかない。

物干しにくっついているのは家の土台のような糸なのだから

うっかり触ると全体が壊れてしまう。

こんなに寒くなって後どれだけ生きていられるか分からない。

朝起きて一番に見に行くのが日課である。